本日は六本木にある国立新美術館で開催中の「ルーヴル美術館展 愛を描く」に行ってきました。
前回は美術館とは言い難い美術館だったので、あれからずっと待ち望んでいた美術館です。
概要
東京の開催期間は2023.3.1(水) ~ 6.12(月)まで。
京都は6.27(火) ~ 9.24(日)までとなってます。
私は東京の後半にお邪魔しました。
15時~16時頃に行きましたが、待ち時間は約30分。
この日の最大待ち時間は少し前の時間の40分。
どの日も土日は15時ごろが多く、周囲に気を遣わずゆっくり見るなら午前中に観るのがオススメです。
滞在時間はじっくり読み解きながら進んで約3時間。
本展示会のテーマ
今回のルーヴル美術館展のテーマは「愛」。
愛ひとつとっても、情熱・欲望・悦び・あるいは逆の感情である苦悩や悲しみなど、様々なかたちが存在します。
また宗教画においては、神が人間に注ぐ無償の愛、そして人間が神に寄せる愛が、聖家族、キリストの磔刑、聖人の殉教といった主題を介して、信者たちに示されていきます。
その様々な愛の概念を絵画芸術では、どのように表現されてきたのか。
今回はルーヴル美術館の膨大なコレクションから精選された73点の絵画を通して、私たちに伝えかけてきます。
そして愛と時代背景をもとに、5つの章に分かれてます。
プロローグ―愛の発明
Ⅰ.愛の神のもとに―古代神話における欲望を描く
Ⅱ.キリスト教の神のもとに
Ⅲ.人間のもとに―誘惑の時代
Ⅳ.19世紀フランスの牧歌的恋愛とロマン主義の悲劇
テーマごとに集めて展示されていたので、とても見やすい展示でした。
そして最後のⅣ章のエリアはなんと、写真撮影可能でした。
今まで写真撮影可能な展示会に私は行ったことがなかったので、大変新鮮でした。
音声ガイド
入場口に音声ガイドの受付もあります。
音声ガイドは650円。
案内人は満島ひかりさん。
音声ガイドの解説ナレーターは森川智之さん。
最初悩みましたが、音声ガイドがあればより一層展示会に没入できるのでオススメです。
2人の声と絵画ごとに異なる導入のサウンドが聞き手にさらなる没入感を与え、まるで絵画の風景に自分が入り込んだ感覚に浸れます。
個人的みどころ
今回の個人的みどころは、「アモルの標的」、「アモルとプシュケ」、「アポロンとキュパリッソス」、「かんぬき」、「眠る幼子イエス」、「≪部屋履き≫または≪扉口から見た室内の情景≫」です。
アモルの標的
今回の展示のキービジュアルになっている作品。
入口のプロローグで真っ先に案内される絵画です。
真実の愛の勝利を高らかに祝福しているこちらの絵画。
標的に命中した矢は一本で、これは真実の愛を示しており、標的の周りには名誉の象徴の月桂の冠、ヴィーナスを象徴するバラの花、番いの白い鳩など幸福のモチーフが随所に配してます。
月桂の冠を捧げて真実の愛の勝利を祝福するアモルがかわいらしさ満点です。
モチーフひとつに絞って観てから全体を見るとより一層世界観に引き込まれる作品。
眠る幼子イエス
聖母の青いマントは希望のしるし、導きの星の象徴である海の星のように。
赤い衣は慈愛の象徴。
見ているこちら側も深い愛に包みこまれるような感覚になりますね。
かんぬき
18世紀フランス絵画の至宝、フラゴナールの作品です。
今回26年ぶりに来日したそうです(゚Д゚;)
こちらは意味を知れば知るほど深みの増す作品。
天蓋の布、テーブルのりんごの赤が肉欲の罪の象徴であり、人物の動きのライン、光の差し込むラインと天蓋の下りた3つのラインの先にりんごを配置することで、見る人の視線を誘導する手法が用いられているとのこと。
すべての配置に意味があると知ると、布の皺具合や二人の顔の細かな表情も近くでじっと見たくなります!
≪部屋履き≫または≪扉口から見た室内の情景≫
個人的に思わず立ち止まって見入ってしまう絵画、第1位。
最初見た感じだと少し違和感があるような。。。
じっくり見ていくと脱ぎ捨てられた部屋履き、扉に刺したままの鍵、立てかけられた箒、読みかけの本が視界に入り、そこで室内の人物がいないことの違和感に気付く。
この部屋の人物は家のことをすべて放り出して愛する人のもとへ向かったのだろうか。
見る人に様々な物語を連想させるこの絵画は、実際に目の当たりにすると自然と足が止まる絵画です。
アモルとプシュケ
右の愛の神アモルが、左の王女プシュケに恋をする瞬間を描いた作品。
こちらの作品は最後のブースに展示されているのですが、これまでの展示をすべて観てからこの絵画を見ると、感じ方がガラッと変わるはず。
蝶も「心・霊魂」の2つの意味を持つことを知る。
ここでまさかのシン・仮面ライダーでの気づきが。
予想外の分野で新たな発見もある。
だから美術作品は好奇心を刺激するし、面白い。
アポロンとキュパリッソス
若く美しい少年のキュパリッソスは太陽の神アポロンに愛されますが、大切にしていた鹿を誤って殺してしまい、嘆き悲しんだシーン。
1821年に描かれたようですが、そんな前に描かれたとは思えないほど精巧に描かれてます。
照明の光り具合と涙がマッチして哀しみがグッとこちらに訴えかけてます。
この涙の表現のリアリティさもぜひ生で観てほしい。
おわりに
ここでは伝えきれないほどたくさんの「愛」の表現が盛りだくさんでした。
なにも知らない状態で自分の感性に委ねる見方でも十分楽しめますが、展示会の解説や音声ガイドを読んでいくと新たな発見もあって、自分の感性がさらに花開く感覚になれると思います。
画像で見るより実際に本物の絵のタッチや色遣いをみると、感じ方が全く異なると実感しました。
お気に入りの推し絵を求めて行くのもいいかもしれません。
こちらの本もおすすめです。
美術館展に行かれる前はもちろん、行った後も余韻に浸りながら復習も出来ます。
そして美術館展で目の当たりにした絵画のポストカードが5枚も付いてきます(;゚Д゚)
これで1430円!
即買いです(^^;
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